製粉方法で何が変わるの?

米粉メーカーは様々な製粉方法で米粉を作ります。

米粉の歴史は長く、製粉方法は時代、用途で変化を続けてきました。ここでは基本的な米粉の製粉方法をご紹介します。製粉には大きく分けて湿式粉砕と乾式粉砕があり、更にそこから細かく製粉法は分かれていきます。

ここでは、米粉の製造によく用いられる製粉方法を紹介していきます。

湿式と乾式の違いについて

まず、製粉方法には湿式と乾式の2通りの考え方があります。この2つの製粉方法の違いで米粉の状態に大きな影響を及ぼします。

湿式とは

湿式とは原料となるお米を水に漬け、脱水、製粉し乾燥といった流れで米粉を製造する方法です。

メリット

・製粉時の熱が発生しにくい為、真っ白で風味のある米粉ができる。

・澱粉損傷を抑えることができる。

・原料米が柔らかくなるため、微粒粉砕に向いている。

デメリット

・製造コストが乾式と比べると大きくなる。

・粒度の大きい米粉には向かない。

・水分値の調整が必要となる。(乾燥工程)

湿式製粉は米粉としての品質はもちろん、品種独自の性質を出しやすくする働きもあるのでとても人気のある製粉方法です。しかし、製粉コストの面から価格は比較的高値で取引されています。

乾式とは

乾式とは、原料米を精米し、そのまま製粉機にかける方法です。製粉スピードもさることながら、製粉コストも抑えることができます。

メリット

・浸漬、脱水、乾燥といった手間を省くことができる。

・カビ等の発生の心配が少ない。

・比較的安い設備での製粉が可能。

・乾燥工程がないので粒度を大きくできる。

・コストを抑えることができる。

デメリット

・製粉時に粉が熱を持ってしまう。

・米粉自体が少しくすみやすい。

・熱を通すと少し黄色く色づく

・澱粉損傷が大きくGFパンなどには向かない。

乾式製粉の方が向いている調理もあります。例えば和菓子など、もち米に加えて食感の調整をしたり、手粉として米粉を活用する場合は乾式製粉の米粉が好まれる事が多いです。

様々な製粉方法

次に製粉機について説明します。

製粉方法は「湿式or乾式+○○粉砕」といった風に名前を付けられています。○○製粉は各メーカーで違います。そのため米粉の特性も多様になっていると言っていいでしょう。ここでは代表的な粉砕方法をご紹介します。

気流粉砕機

気流粉砕とはその名の通り気流を使った粉砕方法です。構造は粉砕機内に気流を発生させ、決められた粒度になるまで細かく粉砕されます。設定粒度まで細かくなった米粉は気流に乗り外部へ排出されます。特徴としては風量の調整で超微粒粉砕を行う事が出来き、粒度分布(粒の大小)も安定させることができます。現代の米粉ではポピュラーな製粉方法となっています。主には湿式と組み合わされることが多いです。澱粉損傷を抑えた米粉を製粉するときには欠かせない製粉方法です。

ロール式製粉

ロール式粉砕は2本のローラーの間を米粒が通りすり潰すように粉砕します。設定粒度になっていない米は再度ロールにかけられ細かくなるまでこれを繰り返します。

ロール式は一段式や二段式、溝付きロールなどメーカーによって様々な構造になっていて、多種多様な米粉を製粉できるのが魅力です。また、米粉が必要以上に細かくなりにくい性質もあり、ロスの少ない製粉が可能です。湿式、乾式共に採用可能で汎用性の高い粉砕方法となっています。

胴搗き(どうつき)製粉

同付き粉砕は日本古来より行われてきた粉砕方法で杵と臼で米粒を叩いて粉砕します。今では機械化されていますが昔は人力で行われていました。非常に細かい米粉を製粉でき、澱粉損傷も抑えることができるともいわれています。

石臼製粉

石臼製粉は下臼を固定して上臼の重みと回転で粉砕していきます。特徴は、ゆっくり熱を逃がしながら粉砕を行うので、香り豊かな粉になります。また、粒度分布の広い製粉方法で米粉にはあまり使われません。

ピンミル粉砕

ピンミル粉砕は米粒が回転するピンディスクに投入され、二つのピンディスクに擦られる様にして粉砕されていきます。短時間でかなりの量の米粉を製粉することが可能な代わりに、製粉時の摩擦で米粉はホカホカの状態で排出されます。昔から上新粉などを作るときに用いられています。比較的粗い米粉を作りたいときに有効な製粉方法です。

製粉方法による違いは米粉の特徴の1つ

以上の他にも米粉を作る方法はメーカーによって違います。ここでは製粉方法の違いが米粉の特徴に反映される事を理解していただけたらバッチリです。メーカー自体が製粉方法を公表しているところは案外少ないのですが、中には工場見学まで受け付けているメーカーもあります。使っている米粉がどんな製粉方法で作られているかを知ることが、グルテンフリーレシピ開発、調理の効率アップ、失敗の改善に繋がるかもしれませんので、情報をたくさん公表しているメーカーの米粉を使用する事も検討してみてはいかがでしょうか。