今回の内容はちょっとディープな内容です。

米粉の原価っていくらなの❓という疑問にお答えします!

暴露系ブログにはするつもりないので○○円です!とは言えませんが、これから米粉事態を作ってみようと思っている農家さんなんかには参考になればなと思っています!

では、よろしくお願いします!

米粉になるお米

皆さんがいつも使っている米粉ですが、どんな原材料からできているかはご存じですよね?

そうです、うるち米です!

ご飯として食べているのもうるち米です。

じゃあ何が違うの?と思ったことがある方はもしかしたらいるかもしれませんので先に言っておきますが、全く一緒です!

同じ様に田んぼで育てられて、炊けばご飯。粉砕すれば米粉。これは昔から変わらずこの考え方で、お米の消費は行われてきたんです。

ここで疑問が浮かび上がりますよね?

同じお米なら、米粉の価格ってお米の市場価格に比例するの?

●お米が安くなれば、米粉も今後安くなるの?

なんて。

さあ、お応えしましょう!

比例しません!安くなりません!!(わかんないけど、、、)

米粉の原料となるお米は、炊いて食べるお米とは別の考え方で取引がされているのです!

それでは、米粉業界の仕組みについて深堀していきましょう。

かなりややこしいので、かなり簡潔に説明していきます。

新規需要米制度(米粉用米)について知っておこう

さかのぼる事10数年前、国策として始まったのが新規需要米制度。

人口減少、食文化の変化によりお米の消費量が激減。多大な米の在庫を抱えることなる日本ですが、米を新たな用途に活用し、米の消費拡大に向けた大きな舵切りをすることとなります。

それが、新規需要米制度です。お米の使用用途を限定し、米を加工して商品化することによって米の新たな消費、コメ加工品の創造を促進しました。

新規需要米は用途限定米とも呼ばれ、酒用や飼料用など様々な用途が区別され、用途限定米を仕入れる業者が取り組みしやすいようにお米に多額の交付金が設定されました。

交付金は、加工業者に支払われるのではなく、新規需要米を作ってくれた農家さんに国から支払われます。その為、加工業者は一般米、加工用米を買うよりかなり安価に仕入れることが可能となりました。

この新規需要米の一種が米粉用米というわけです。

米粉用米はその名の通り、「米粉への製粉」が義務づけられたお米で、粒のまま売ったり、そのまま米粉用米としての転売も禁止されている、買ったら絶対米粉にしないといけない縛りのあるお米です。

農家さんは自分の田んぼで採れたお米を主食用米や、加工用米、新規需要米など沢山ある販売項目の中から選択し農協や、直販などあらゆる方法で出荷していきます。

なので、結果的に一農家さんが同じ田んぼで出来たお米を主食用と米粉用で出荷した場合、主食用が1等級のお米の場合、米粉用も1等級で入荷されることがほとんどです。つまり、お米の美味しい地域の米粉は、美味しくて、等級の高い原料米が使われている可能性も高くなるのです!

ちなみに、米粉用米の場合1等級から3等級までが出荷可能等級となり、等級による金額の差がありません。なのであまり手をかけず、3等級で栽培されても全く問題ありません!

新規需要米【米粉用米】の一番の特徴は、「 米以外の穀物代替となるパン・麺等の用途」にしか使用が認められていないという事です。上新粉やお米で作られているような米菓や和菓子への米粉の代替は認められていないことになっています。

米粉と上新粉の違いって何?

新規需要米が通常のお米と同じ田んぼで栽培されていることが分かったら、次はもう一つややこしいお話をします。それは上新粉と米粉の違いについて。

これは米粉製粉業者なら誰でも通る疑問点です!というか、いまだに明記されていません。

応えは・・・無いです!

しかし、これは表記の問題!

正確にはいろいろあるんですが、簡単に覚えるなら

上新粉は加工用米で作られる

米粉は米粉用米で作られる

これぐらいで良いかもしれません。

ちょっとややこしい話をすると(別に知らなくてもいいかも)

農家さんが同じ畑から、同じ品種のお米を、米粉用米と加工用米の2種類に分けて出荷します。それを製粉会社が同じ製粉方法で製粉した場合、同じ性質を持った米粉と上新粉(上用粉)が出来あがります。

更にややこしいのは、上新粉の表記は食品表示法で米粉でもOKになっています。

つまり同じお米から、同じ性質を持った「米粉(米粉用米登記)」「上新粉(上用粉)」「米粉(加工用米登記)」の3種類の米粉及び上新粉・上用粉が誕生するわけです。

めちゃくちゃややこしいですよねw

で、表題の結論ですが

上新粉と米粉の違いを性質で判断することはできません。

用途でしっかり区別する必要がある。ということです。

農水省が公表している米粉用米の正しい用途は「 米以外の穀物代替となるパン・麺等の用途」となっているため、加工業者は注意をして米粉の仕入れを行っているわけなんです。

米粉用米の価格って?

さあ、ここからが本題ですよね。やっとの本題の前に、なぜこの様な社外秘的な事を載せようと思ったのかだけお伝えさせていただくと、2022年現在、新型コロナの影響もあり主食用のお米の値段が暴落しています。原因は学校の休校による給食消費の減少、外出自粛に伴う外食産業による米消費減少などが挙げられています。

その中で米粉製造業者は「米相場が下落しているのなら仕入れが下がっているのではないか?」と思われています。小麦粉高騰の裏側で、米粉は値下げ交渉をされる現状があります。

今回は、そんな間違った情報を正すべく、情報を公開させていただきますので、同業者様には申し訳ありませんが金額は明確に致しませんのでご了承いただければと思います!

さて、行きましょうか。ここから先は相場になりますから実際の取引価格とは誤差がありますのであくまでも参考としてご理解ください!

米粉用米の仕入れ値はほとんど変動しない

米粉用米の価格は以下の様になります。

購入価格+国からの交付金=米粉用米相場 となります。

大体ですが、米粉用米の相場は1表当たり11,000円くらいと言われています。

そして、交付金が1表当たり8,000円くらいと言われています。

という事は、

1表の購入価格=11,000 - 8,000 となるので 

なんと1kgあたり50円⁉(1表は60㎏)

製粉業者の米粉用米購入価格は相場の30%ほどしかないってことになります!

しかし、米粉事業というのは米の価格安定の為に作られた事業なのでお米の相場が下がっても業者は安く買う事はできません!

それどころか、値上げの交渉をされるぐらいです!これが現実!

更に、運搬費用、人件費、包装資材等はは上がっていく一方なのでお米が安くなっている現状でも製造コストはどんどん高くなっていっているのです!

お米が粉になるまで

米粉用米は安い!米粉の相場は1kgあたり500円~700円程度なので

ボロ儲けじゃん!!!

って思うかもしれませんが、そうはいきません!

だったらみんなやってます。。。

米粉を作るのはとっても手間がかかるんです!ここでは米粉が出来るまでをご紹介します!

吉備しあわせ米粉(株式会社シーワンの場合)

1.玄米を精米し白米にする

2.色彩選別機にかけ色の悪いお米をはじく

3.お米を水で洗う(研ぐ)

4.お米を水に漬けて柔らかくする

5.脱水をして製粉機に流し込む

6.製粉機で粉にする

7.乾燥工程(水分値調整)

8.計量・袋詰め

9.金属探知機等の異物チェック

10.低温管理 ➡ 出荷

という工程をたどります。これだけの工程で1ヵ月に20t程度の米粉を製造します。

米粉を生産するのにかかるコストは年々上がってきているといいます。

水道代、下水道代、電気代、そして複雑な製粉工程。全てが大型機の為、かなりのコストをかけて製粉することになります。

製粉業者もいろいろ悩ましいところなんですねぇ。

最後に

今回は吉備しあわせ米粉の株式会社シーワンにお話を聞きましたが、製粉業者はそれぞれのこだわりを持って製粉をしています。こだわりの数だけ苦労があり、製粉コストもかかるという事です。

その中でも米粉は値上げ傾向にありません。

それだけでも、小麦粉高騰の流れの中で注目される理由になりますよね!

米粉用米は安く手に入るけど、大変な製造コストをかけて大事に大事に作られているっていう事を知ると、これからも米粉と仲良くしていける気がしますね!